中小企業診断士 自立に向けてのブログ

中小企業診断士にまつわる話を軸に、様々なトピックについて取り上げていきます。

財務会計:内部留保について

 何の因果か、総選挙の日が10/22となりました。
それどころじゃないってのが受験生の正直な気持ちでしょうね。(^_^;)


 先日、ラジオを聞いていたとき内部留保が話題となっていました。今、日本の企業の内部留保は合計で約400兆円に上るそうです。[1]によると2013年のときに328兆円に上り、年平均5.8%で増加しているそうなので、このトレンドが継続すると仮定すると2017年末には328兆円×1.058^4~411兆円となるので、やはりそれ位あるのでしょう。
 そのためでしょう。今回の選挙で、この内部留保に課税することを掲げている政党があります。



 さて、中小企業診断士試験の勉強をされた方は、この内部留保への課税についてどのように考えますか?



 因みに、財務会計を勉強した人にはわかると思いますが、企業には内部留保と呼ばれる現預金があるわけではありません。企業が持つ現預金は、当たり前ですが、貸借対照表の中の現金・預金になります。それに対し、内部留保とは貸借対照表の中で言うところの利益剰余金のことですね。[2] 中小企業診断士の試験ではよく財務会計で配当の問題として出題されますが[3]、その他、設備などの固定資産への投資、棚卸資産、現預金、有価証券などに充当されています。それ以外に積み立てが義務付けられている利益準備金も含みます。


 さて、ここまで読んで、企業は内部留保をため込んでいる!けしからん!!課税だ!!!というフレーズに対し、どのようなお考えになったでしょうか?
 まぁ、普通に考えますと、憲法第29条で保障されている私有財産権の侵害だと思いますが。。[4]


 それでは内部留保ではなく、現金・預金への課税だとしたらどうでしょうか?(これも憲法違反だと思います!)
 企業の現預金は、[1]の図2によると、2013年には174兆円に上るそうです。そして、うち6割くらいが中小企業の現預金となるみたいですね。(^_^;)


 このデータから言えることは、内部留保への課税を推し進めようとしている政党は、中小企業の現預金をターゲットとして課税を強化しようとしているのでしょうか?まぁ、忖度しますと、別に、中小企業をいじめるつもりはさらさらないのでしょう。きっと、そもそも内部留保の意味を知らないだけか、知っていても国民から人気が取れれば何でも公約として掲げるといったところではないでしょうか?


 前者にしても後者にしても、かなり問題があるとは思うのですが。。(-_-;)




 更に続けますと、企業が現預金をため込むことは、中小企業診断士の立場から問題と言えるのでしょうか?


 社長!現預金貯め過ぎです!ばぁーんと使っちゃいましょう!なんて言うべきなのでしょうか?少なくとも、そんなに単純なわけないですよね。
 では、そもそも、特に中小企業がなぜ現預金をため込んでしまうのでしょうか?診断士試験の勉強をやられた方ならピンとくると思うのですが、理由として、①資金繰りが悪化したときに備えている、②投資しても儲からない、などが考えられられると思います。ですので、本当に現預金をため込むのが問題だと思うのなら、課税云々を議論するよりも、これらを何とかすることを議論する方が重要なのではないでしょうか?
 政治家先生には、安易に増税といわず、どうしたら投資をしやすい経済環境ができるのか?もっともっと考えてほしいものです。


 因みに、ラジオで言っていましたが、自由の国アメリカでは現預金をため込むということはそれだけ企業のパフォーマンスが悪くなることを意味するので、必要以上分は投資や配当に回せというようなことが法律であるそうです。[5] が、それは株主が株主総会で言うのならまだしも、ステークホルダー以外がいうのはどうなのでしょうか?


[1] http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8795835_po_0836.pdf?contentNo=1
[2] 利益剰余金とは? | 会社四季報の見方
[3] 【財務】平成19年 第6問 配当時の利益余剰金の積み立て|タキプロブログ 合格者が伝える中小企業診断士試験「突破後」のノウハウ!
[4] 財産権 - Wikipedia
[5] 留保金課税 - Wikipedia







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